2005-08-01から1日間の記事一覧

 ● れんじょう みきひこ

作家 1948年、愛知県生まれ。 早稲田大学政経学部卒業。 在学中、「変調二人羽織」で「幻影城」新人賞受賞。 81年、『戻り川心中』で日本推理作家協会賞受賞。 84年、『宵待草夜情』で吉川英治文学新人賞受賞、同年、『恋文』で直木賞受賞。 96年、『隠れ菊…

人は誰でも「綻(ほころ)び」をもっている、と連城さんはいう。

自分の綻びをどこかで感じている人は人の綻びにも寛容になれる。 綻びをもたざるをえない人間の悲しみと、その綻びをゆるす著者のまなざしの優しさが、読む者をして心のカタルシスをひきおこす。 そこが連城ファンにとってはたまらない魅力なのである。

十一年前、剃髪(ていはつ)して京都の東本願寺で僧としても一歩を踏み出した。

「祖父母の代までぼくの家は真宗の寺だったんです。 父が寺を嫌(きら)って出てしまったんです。 でも、家には大きな仏壇(ぶつだん)があって、目が覚(さ)めると母が大きな声でお勤(つと)めしていたんですね。 そんなことで仏教が体にしみとおっていた…

連城さんは名古屋の大学で非常勤講師で「文章表現」について教えているという。

「文章というのは頭で考えるものじゃなくて、感性で表現するものですよね。 目や耳、五感(かん)を全部使って書くものですね。 ぼくが教えられるのはそれだけです」

長いこと恋愛小説を書いていまして、夫の浮気問題とか嫁姑の問題とか、そういうのは得意なんですが、人生相談ではいじめの問題が多いですね。

個人的にも相談を受けていまして、毎日いじめのことを考えているんです」

女の人の相談というのはまともに乗り気になれないんです。

女の人は相談してきても、結局は自分の好きなふうにしかやらない。 強いですよ。

連城さんの小説では、女性の芯の強さと比べて、男性はどちらかというと優柔不断(ゆうじゅうふだん)のように見える。

「そうです。 ぼくの両親がそうでした。 その後ずいぶん男女関係を見てきましたが、その例外というのは見たことがないですね。 今までは人生相談とかは一切やらなかったのですが、五十になって、やってもいいだろうと思って、去年あたりから始めたんです。

瀬戸内寂聴さんと対談したとき、『恋文』を読むと、作者は坊さんでしか生きられないと思った、と言われました」

「与えて求めないという無償の愛がテーマだったんです。

相手をよく理解して、相手のしたいことをさせるのが本当の愛ではないかと。 仏教でいう慈悲(じひ)ですね。 無償の愛が人間にどこまでできるか、そんなことをためしてみたかったのです。 人間の世界ではありえないことだと言われましたが、でも、多かれ少な…

 ●『恋文』は不思議な小説である。

結婚十年目を迎えた夫婦。 ある日突然夫が家を出る。 結婚前につきあっていた女性が身寄りのないまま難病にかかり、あと半年の命だと知って、その女性のために生きようとしていたのだ。 夫は妻と離婚してまでその女性の最後を看取(みと)ろうとする。 身勝…

 「連城三紀彦」さん、、、大好きですよ♪

連城三紀彦

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