人は誰でも「綻(ほころ)び」をもっている、と連城さんはいう。

自分の綻びをどこかで感じている人は人の綻びにも寛容になれる。
綻びをもたざるをえない人間の悲しみと、その綻びをゆるす著者のまなざしの優しさが、読む者をして心のカタルシスをひきおこす。
そこが連城ファンにとってはたまらない魅力なのである。