● 説法


 << 他を利するとは >>


他を利するとは即ち自らを利するなり
インド竜樹の「十住毘婆沙論」のことば。


人は一人では生きられない。
他との摩擦をさけて通りたければ、他者を理解しなければならない。
自分だけの意志を通せば仲間を外される。
他者の心や立場を思い、自分の我を通さず、他者の利益になるようにつとめることが、自分の利益にも報いてくる。
アメリカは世界一と思うなら弱い貧しい国に、慈悲を持つべきである。


 << 火は物を焦がすと >>


火は物を焦がすとその火は知らず、水は物を潤すとその水は知らず。
仏は慈悲して慈悲を知らず。
江戸、至道無難「至道無難禅師法話」より。


人は火や水から計り知れない利益を受けているが、火や水はそのような利益を与えていることを自覚していない。
仏も同様である。
人間は必ず自分の善業に対して利子のついた報いを期待して汚い。
無償の行為の出来るものこそが幸福なのである。


 << 神や仏を祈らずとても >>


神や仏を祈らずとても、直ぐな心が神仏。
人が見ぬとていつわるまいぞ、我と天地がいつか知る。
鈍な者でも正直なれば神や仏になるがすじ。
江戸、白隠慧鶴「草取唄」より。


他人が見ていないからと言ってごまかしてはいけない。
自分と天地とはだませない。
愚鈍な者でも正直であれば神仏になれるのが筋だ。
信仰は神仏に守られるためのものではなく、自分がそのまま神仏になることだといいきっている。