『白馬の森』


『白馬の森』

東山魁夷画伯の『白馬の森』である。
幻想な幽玄世界だ。枯死したような老木の木立のなかに、一頭の白馬がいる。

 この森は幻視の世界か。
地はあるのか。
剥き出しの根がみえる。
木立は氷のように凍てついていてするどい。
それでいてその枝の先には、これも幻視なのか、緑の葉塊が霞んでいる。

 そのなかに、一頭の白馬が佇んでいる。
まだ成馬に達しない少年のような未熟さを体現している。
えもいわれぬ“いのち”を画布に注いでいる。
そこにいるのは、長い髭をはやした老人でもなければ成馬でもない。
少年のような軽やかさ・無邪気さを漂わせている一頭の白馬である。
<解説:引用>