ミリオンダラー・ベイビー

nippon53742006-04-29


ミリオンダラー・ベイビー

トレーラー暮らしで育ったマギーのたったひとつの取り柄はボクシングの才能。
彼女は名トレーナーのフランキーに弟子入りを志願し、断られても何度もジムに足を運ぶ。
根負けしたフランキーは引き受け、彼の指導でマギーはめきめき上達。
試合で連破を重ね、ついに世界チャンピオンの座を狙えるほど成長。
しかし、思いもよらぬ悲劇が彼女を襲った。

2005年のアカデミー賞ほか数々の映画賞を受賞したクリント・イーストウッド監督主演作は、単なる女性ボクサーの物語ではない。
これはボクシングを通じて知り合ったマギーとフランキーの絆の物語。
マギーは亡くなった父の姿を、フランキーは疎遠になっている娘の姿をお互いに重ね合わせ、そこに「家族」を見いだしていく。
しかし、その絆が強固なものになればなるほど、後半マギーを襲う悪夢にフランキーは傷つく。
マギーを永遠に逃れられない苦しみから救い出したいけれど、それは神に背くこと。

イーストウッド監督はボクサーとトレーナーの関係を崇高な愛の物語にまで高めていく。
ひとりの女性ボクサーの人生が、死生観まで考えさせる映画になったのは、イーストウッドの監督としての志の高さだろう。
アカデミー賞では作品、監督に加え、ヒラリー・スワンクが主演女優賞、モーガン・フリーマン助演男優賞を受賞。
役者たちのパフォーマンスにも圧倒される傑作だ。