出生

牧原敏三、新原フクの元に生まれた龍之介であったが
生後すぐにフクが発狂、
育てられたのは伯母、儔(とも)のもとであった。
この不幸な出生は、その後の作品にもときどき現れることがある。

龍之介の名前は、彼が辰年・辰月・辰日・辰の刻に生まれたことに由来すると言われているが、これは事実ではないともされている。
この逸話は、都市を幻視した作家芥川にまつわる都市伝説の変型と言えるだろう。
また、かつて龍之介の名を「竜之介」と表記していたこともあった。

江東尋常小学校東京府立第三中学校(現両国高校)、第一高等学校、
東京帝国大学(現東京大学)英文科と進学。
東京帝国大学文学部英文学科在学中の大正三年に菊池寛久米正雄らとともに
同人誌「新思潮」(第三次)を刊行。
同誌上に処女小説『老年』を発表。
作家活動の始まりとなった。
初期の作品の中では『鼻』が夏目漱石に高く評価されたことが知られている。