「清風妃図」棟方志功

nippon53742006-10-06


「清風妃図」棟方志功

女性への憧れと平和へのメッセージ。
「国際作家ムナカタ」ならではの傑作

 本作品は、棟方画伯の思想的特徴の一つである「フェミニズム―女性崇拝」と、「祈り」が如実に表現された作品。
幼い頃から母を慕い続け、長じては最高の理解者であったチヤ夫人を愛し続けた棟方画伯にとって、女性は全て「妃」という尊い存在でした。

 気品高く、ふくよかな女性像は画伯ならでは。
根本的な生命力賛歌とも言える、女性への愛が随所に感じられ、迷いのない筆致により、独創的な構成と主題に対する熱い想いを物語っています。

 本作品に書かれた「清風」は清々しい爽やかな風を、「普」は遍く天地に満ち溢れていることを、「航」は水の上や空中を渡ることを意味します。
「清風普航」はすなわち、清らかな風が見渡す限り一面を心地よく流れている様をあらわしています。
『精神と肉体を穏やかに健全に保ち、家族、友人、周囲の人々と争わず、平和に暮らしていれば、やがて眼前に目指すべき素晴しい未来が開けてくる。』という画伯のメッセージが込められ、その理念の広さ、大きさが伝わってまいります。

 「国際作家ムナカタ」誠真の一作である本作品は、棟方芸術の豊かな精神と芸術性を存分に堪能できる傑作です。